こんにちは。1級FP技能士のみにまるです。
本日は2023年5月FP1級学科試験の難易度が上がった?という話題を受けて、今後FP1級に合格するのはどんな勉強をすればいいのかを考えてみました。
試験問題:2023年5月試験 | 一般社団法人 金融財政事情研究会
試験問題は↑です。確かにいつも以上に難しい印象です。目を通した限りですが基礎編、応用編ともに難しいと感じました。
もしかしたら基礎編で帰った人も多かったかもしれませんね。
応用編もひねりが効いた問題が多く一筋縄ではいかなかったと思われます。
この回でも自己採点で合格点に達成した方は素晴らしいですね。配点は不明ですが、今回の難易度では配点調整が入る可能性が高く、自己採点で120点未満の方も合格の可能性は残ると思います。
今回自分で受験していないので正確なことは申し上げられないのですが、FP1級学科試験を受けるにあたって何よりまず大事なことを先に申し上げます。
本番試験は過去問通りではないことを忘れないでください
自分が受ける回が過去問通りの解きやすい問題であると、期待しないでください。
過去問演習は無駄なのか?
過去問と全然違った…
というお声もたくさん見かけるのですが、過去問通りではない新作問題は必ず毎回一定の割合で出ます。
今回はその新作問題の割合が高かったと思われます。詳しくはFP Wikiさんのサイトの問題分析をご参考ください。(他力)
ただこの難易度のなか、基礎編は6割取っている方も多いので、やっぱり過去問の効果は出てると思います。
過去問道場や模試で9割取れていても本試験での得点の期待値は6〜7割となります。私のケースですが、最終的な全期間正答率98%で本番基礎編9割でした。難易度が易しい回だったことを考えても98%→7〜8割、難しい回では6割くらいしか取れないと思います。
本番試験での得点率の期待値 = 模試や過去問での実績正答率 ー 20%~30% :2割〜3割の評価減
特にTACのあてる予想模試は本番試験と比較すると、簡単過ぎると言わざるを得ません。特に応用編は勉強した人ならあっさり9割とれてしまいます。あてる予想模試の難易度では120点は目標水準として低過ぎます。160点は取っておきたいところです。これは厳しい目標水準かもしれませんが、現実の本試験と比較するとこのくらいになるでしょう。
初見の模試の目標点:160点以上
最難回でも必ず合格するには?
過去の事例を見ても極端に難しい回はありました。ただ合格率0%の回はありません。合格者は500人程度毎回出ています。
FP試験の合格基準は6割であり、絶対評価とされていますが、FP1級に限っては、自己採点と実際の点数に差が大きく、合格率調整のための配点調整が行われていると言われています。
表向きは絶対評価の試験ですが、実質的には相対評価の試験であると考えた方がいいです。
そこでかなり厳しめの目標水準を独自に立ててみました。これは私の偏見独断によるものなので、実際に当てはまるとは限りません。ご了承ください。ですが、厳しい目標をクリアすることで合格できる確率も上がるはずです。
- 受験生の間で上位5%以内に入る実力をつける
- 過去問道場で32位以内
- 過去問道場正答率90%以上(試験前直近1ヶ月)
- 初見の模試で160点以上
過去問道場さんの累計ユーザー数は6400人です。(2023年5月時点)過去問道場FP1級サイトは2019年12月(令和元年12月)に開設されています。2020年1月から2023年試験回は10回です。
平均アクティブユーザー数=6400人/10回 = 640人
と仮定した場合、
上位5%=640*5%=32位
となります。
もちろんこれは仮定の数字ですが、厳しめに見ても30位以内に入ることを目標とするとかなり上位層に入ると思います。
ただし…
1桁の順位でも落ちた方もいらっしゃるとかいないとか…
という話もあるので上位であっても油断はしないでくださいね。
もちろん過去問道場は基礎編のみが対象なので応用編の順位はわからないのですが、これくらい基礎編をやりこんでいる人は応用編もしっかり勉強しているでしょう。
双方向性のある対話式勉強法
問題集も5周以上やった。過去問道場も毎日やってる。過去問も5年分はしっかりやった。
これでもなかなか本番試験での得点に結びつかず悩んでいる方もいらっしゃると思います。
頑張っていないのなら納得できるけれど、頑張っているのに報われないのは辛いです。
個々人の特性や経験、能力で差がないとはいいません。差はあると思います。ですが、特別な才能を必要とする試験ではないので一定レベルの知識量・計算力が身につけば合格できる試験です。
諦める前に、以下の勉強法が一部でも実践できているか確認してみてください。
私は勉強の本質は「対話」であると考えます。問題との対話、問題作成者との対話、受験生同士の対話、講師の先生との対話、合格者との対話、自分自身との対話。常に対話して問題を多方面から双方向に議論しながら勉強する方法です。
- 各選択肢の○×の根拠を空で説明する
- 問題の条件設定を変えて解いてみる(自分で問題を作る)
- ミスノートの作成・分析
- 類題を比較分析する(具体⇄抽象トレーニング)
- 解法を見える化する(まとめ作り)
- 勉強仲間とZOOM等で勉強会をする
1. 各選択肢の○×の根拠を空で説明する
全選択肢の○×の根拠を短くノートに書く一問一答式の「横に解く」勉強法です。
詳しくは下記のはなまる先生のnoteをご参照下さい。
基礎編3周目から普通じゃない解き方を始めます。
https://note.com/good_hanamaru115/n/nb10ea0d4a1af
それは問題を【横に解く】方法です。
これは1問目(1)の選択肢を○×判定したら、2問目(1)の選択肢を○×判定、3問目(1)の選択肢を○×判定・・・(以下同じ)と解いていきます。
https://note.com/good_hanamaru115/n/nb10ea0d4a1af
選択肢(1)だけ連続して解くのがやりにくい場合は一気に選択肢(1)〜(4)まで解いてもいいと思いますが、答えの根拠は必ず書いて下さい。できれば、家族や友達に問題の解説を口頭でしゃべってください。ウザがられると思いますが💦
2. 問題の条件設定を変えて解いてみる(自分で問題を作る)
年金の計算問題を例に説明します。
この問題では問われているのは夫Aさん死亡時の妻Bさんの受給する遺族年金の額ですが、妻Bさんが65歳以上のときは自分の老齢厚生年金併給調整を考慮する必要があります。
- (問題で聞かれている条件とは別の)妻65歳時の年金額を計算してみる
- ↑の場合は子供がいますが、子供がいない場合は?
- 奥さんが年上の場合は?(老齢年金のときの加給年金の有無)
一つの問題でたくさんのパターンの問題を考えることができます。
条件を変えることで過去問にないパターンも勉強できる!
答え合わせができないと思われるかもしれませんが、テキストで矛盾がないか確認すれば問題ないです。
また合っているかどうかをSNSで問いかけてもいいと思います。親切な方がきっと教えてくれます。ただし質問魔になるのは周りの迷惑になるので頻度と程度を常識的に考えましょう。
3. ミスノートの作成・分析
ミスノートについてはパブロフ簿記のよせだあつこ先生の記事をご覧ください。
ミスノートの分析方法については中小企業診断士のエミリーさんのブログ記事をぜひご参照ください。
4. 類題を比較分析する(具体⇄抽象トレーニング)
これは過去問の似ている論点の問題を比較分析し、共通する法則を見つけます。
そしてその法則がどの問題でも成り立つことを問題演習を通して確認します。これを繰り返すことで問題演習のスピードと効率が飛躍的に向上します。
・共通点は何か?
・相違点は何か?
2023年3月に開催したFP勉強会&交流会in関西のセミナーでの私の講義のスライドから一部抜粋します。
外貨建て債券の利回りと外貨預金の計算問題では具体的な解き方は当然細部が異なります。
しかしながら、大枠では
利回りを求めること
もうけ=インカムゲインとキャピタルゲイン
利回り=もうけ/投資額×100
という共通点があり、利回り=もうけ/投資額×100がわかっていれば解けます。あとは具体的にはインカムゲインが何で、キャピタルゲインが何か違いを気をつけるだけです。
債券の利回りの公式は
このように公式を覚えたと思いますが、もうけ=インカムゲインとキャピタルゲイン、インカムゲイン=年利子、キャピタルゲイン=1年あたりの売却益とわかれば公式を覚える必要はありません。
このように比較したり分析して具体⇄抽象の往復をすることで、覚える量を少なく圧縮できます。
ぜひこの具体⇄抽象の考え方は取り入れてみてください。
5. 解法を見える化する(まとめ作り)
私はFP1級の解法解説のブログを書いています。これは受験生だった4ヶ月間に自分で考えて見つけたことやテキストや講習セミナーで学んだことを基に書いています。
このまとめ記事を作ることでとても頭が整理され定着率が高まっていると感じます。実際の記事は試験後に書いていますが、多くは受験勉強中の自分のノートやまとめExcelが基になっています。
SNSで目立つ高得点合格している方の多くは自分でまとめ図解をつくり、受験生仲間にシェアしています。
受け取る側ではなく与える側=GIVERになることで物事の深い理解や正確な知識が身に付きます。
ぜひ自分なりの気づきを言葉や簡単なメモ、図解で見える化し、またそれを勉強仲間にもGIVEしましょう。
時間のかかるキレイな詳細なノートを作るのは止めた方がいいです。ポイントだけ絞ってまとめましょう。
6. 勉強仲間とZOOM等で勉強会をする
勉強は1人で行うものですが、ぜひSNSで勉強仲間を作って下さい。勉強会サロン(せいの先生)やFPほんださんが今度7月からFPキャンプというサービスを始めるらしいのでそういったサービスに参加してみるのもいいと思います。
ほんださんのFPキャンプ先行体験してみました!体験記事はこちら↓
FP1級実技面接試験の対策ではTwitterユーザーでスペース勉強会が熱心に開催されています。
答えのはっきりわからない面接試験だからこそ受験生同士で問題を出し合い、教え合う勉強会で合格率を高めています。
学科試験もZOOM等で勉強会開催してる方はいらっしゃいます。「一緒にやろう!」と企画して受験生同士で勉強会してもいいですし、講師の先生をお招きしての有料勉強会も有意義だと思います。
私も合格後に受験生の方と勉強会やりました。お役に立てたかどうかはわかりませんが合格率は参加者の50%でした。
また予備校に通ってプロの講師の先生の指導を仰ぐのもいいですね。予備校の良いところは直接質問できるところだと思います。予備校で受験生仲間もできるかもしれません。
他者と交流して双方向な対話ができる環境で学ぶのが深い理解を得られる近道です。
以上が私なりの最難回でも合格できる確率を高める勉強法でした。
微力ながらお役に立ちましたら幸いです。皆さんの合格をこころより願っています。
2023年4月の試験団体、一般社団法人金融財政事情研究会と株式会社きんざいの経営統合により出版されるテキスト問題集が変わっています。以下のFP1級試験対策テキストの記事を2023年向けに合わせてリライトしています。ご参考になれば幸いです。