FP1級基礎編に必要な暗記の解像度について-23年1月基礎編一部解説

1級FP技能士のみにまるです。
2023年1月のFP1級学科試験を受験された皆様お疲れ様でした。今回も基礎編は相変わらず難しかったですね。

自己採点で合格をほぼ確信されている方、おめでとうございます。自己採点でボーダーに足りなかった方、お疲れ様でした。

2023年1月の学科試験は基礎編は一見、見慣れない言葉が多く難しく感じられたかもしれません。応用編も「これは書けない…」という穴埋め問題もありました。

FP1級の基礎編は難しすぎて「過去問だけではダメなのではないか?」と不安に思っている受検生の方もいらっしゃるかもしれません。

ただ過去問や問題集の演習で合格ラインをクリアされている方もいらっしゃることも事実です。

最近のFP1級学科試験では応用編も変化球を投げてきます。問題集を5周10周して基礎編は50点、応用で80点取れば悠々合格、という時代ではなくなってきました。応用編を8割以上確実に取れるのであれば基礎は半分でもいいかもしれません。ですが、人間どこかでミスをするかもしれないし、応用編がめちゃくちゃ難しくなるかもしれません。
「基礎編6割、応用編7割」が目安の目標ラインかと思います。取れる方はもちろん基礎編7~9割、応用編8~9割目指してください。

目次

あれこれ手を出す前にまず過去問を仕上げる

過去問だけでは無理と思っている方。まず過去問はどのくらいの精度で仕上げていますか?

過去問道場さんにアップされている学科試験1,100問×4=4,400選択肢、9割以上正確に頭に入っていますか?

過去問の○×だけ覚えるのではなく、何故その答えになるのか根拠を答えられるか、関連する知識や派生情報まで頭に入って初めて「過去問やった」と言えます。

23年1月の基礎編を一通り解いてみて感じたことは

確かに知らない言葉もたくさん出てくるし見たことない気がする…でもよく読むと過去問やテキストの知識で解ける問題もある。特に「これさえ知っていれば正解肢が1発で分かる」問題も結構あった

という印象です。

暗記の解像度を高くする

そうは言ってもFP1級の範囲は膨大で覚えることは大量にあります。どこまで覚えてどこは省けるのか。どのくらいの解像度で暗記をしなければいけないのか。

解像度というのは画像やディスプレイが「どのくらい細部まで表示されているかを示す度合い」のことで、暗記の解像度とは覚えるべき情報の精密度、細かさのことを言っています。

解像度の違い https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A7%A3%E5%83%8F%E5%BA%A6

このくらいの細かさで暗記の解像度を上げなければいけないよ

という具体例を、23年1月試験からいくつか挙げましょう。

23年1月試験一部解析

2023年1月ファイナンシャル・プランニング技能検定試験・基礎編

問10. この問題はMVAがある保険の性質「市場金利が上がれば解約金返戻金が減少し、金利が下がれば増える」を知っていれば1発で4)が選べます。このMVAについては過去何度も出題されています。(2021年5月、19年1月出題あり、合格ターゲット記述あり)

問11. この選択肢2)は何度も過去問に出ていますね。これは自信満々で堂々と2が◯です。1)2)→2019年5月2017年9月、3)→2022年1月4)→22年1月もそれぞれ過去問に出題歴あります。この問10、11辺りまでは比較的解きやすい問題が多かったように感じます。選択肢1)は10.21%が正しい、こういう数字をきちんと覚えているかが大事です。

問13. 選択肢10のM・T・H構造は2018年9月2021年9月で出題、内容も全く同じです。すみません勉強不足で4)はわかりませんでした。消去法で4)か。

問14. 1)は私の勉強不足でわかりません。ただ確実に2)が×だと判定できます。2)は合格ターゲットにも記載があり対人賠償保険の基本的な内容です。2015年9月では自賠責の家族への補償の問題が出題され、任意の対人賠償との違いを確認しておきましょう。ノンフリート等級はテキスト通りですね。

2023年1月ファイナンシャル・プランニング技能検定試験・基礎編

問20.時間加重収益率の計算問題。これは過去1回(2020年9月)だけ出ており、新しい合トレにも載っていて合格ターゲットにも解法が丁寧に載っているので解けた方も多いと思います。私の計算ドリルや解説スライドにも載せています

問21. デリバティブのリスクヘッジの問題。これは買い(ロング、コール)/売り(ショート、プット)どっちがリスクヘッジ(お得になっているか)になるかを考えればわかります。暗記ではありません。その場で一個ずつ考えましょう。
値段が上がるもの→買い
値段が下がるもの→売り

問22. 消去法で2)が選択できますが、やや難でしょうか。選択肢4)は2017年1月に出題されており合格ターゲットにも記載があります。 配当所得や特定口座については2020年9月2016年1月に類題があります。

問23 個人情報保護法及び「金融分野における個人情報保護に関するガイドライン」の問題。これは私が勉強不足で難しいと感じました。ただ改正個人情報保護法は22年4月施行で時事的にタイムリーな話題であり、22年9月FP協会実技試験でも出題可能性があるテーマでした。2)の書面によりがおかしい、3)は30日だった気がする、4)ははっきり匿名加工情報なので×と消去法でなんとか1)。FPとして時事問題も興味を持ってアンテナ貼って情報収集することは大事だと思いました。
改正個人情報について:https://www.intellilink.co.jp/column/security/2021/081600.aspx

問41. これは確実にゲットしたい問題。権利金の認定課税の回避方法です。すべて回避OKで○です。詳しくは私の記事もご参照ください。https://miniguri.hateblo.jp/entry/2022/05/11/093245

問42. これも確実に2点ゲットしたい。店舗併用住宅の敷地の1/2から住宅用は丸々40%配偶者控除(住居用2000万までは控除できる)、さらに基礎控除を引いて190万円。基本的に計算問題や答えが必ず算出できる問題はサービス問題です。

問47と問48はツイートしたので以下参照。問47は相続を放棄しても葬式費用は債務控除できると知っていれば1発。(特定受遺者は葬式費用を負担しても債務控除できません。債務控除の詳細はきんざいの「教本 分冊相続事業承継」に載っています。)

問50. 最後は軽めの問題。これは特定の譲渡人からの自社株買い取りなので普通決議ではなく特別決議が正しいです。よって一目で2)が×。他の選択肢も過去問や合格ターゲットに載っている基本的な内容です。

ここに取り上げたのは簡単めの確実にゲットしたい問題が多いです。不動産は難しいですが、ライフ、金融、相続は解きやすい問題もそれなりにありました。

もちろん難しい問題も結構目立ちます。ただ基本的にFP1 級の基礎編は全部難しいです。きちんと勉強してもなかなか点は取れません。重箱のスミまで神経張り巡らせて、なんとか54~60点もぎ取れば合格ラインには達成できます。

万一基礎編で50点くらいであっても応用編で確実に70点以上取れる方であれば合格できます。今回の応用編もやや捻りがありますが、一部の変な穴埋め問題を除けば7~8割取れる内容でした。

FPほんださんのイチトレ(FP1級格納庫)で「頭の使い方」を学ぶ

FPほんださんのYouTubeで「イチトレ」一問一答で選択肢を丁寧に解説し、どのように選択肢を読んで分解すれば正解肢が選べるようになるか、思考法が学べます。

大事なのは正解を導き出すまでの「思考の過程」です。答えだけ覚えるのではなく「頭の使い方」をほんださんの動画から学んでください。

その上で実際に過去問で同じ「頭の使い方」ができているか、確認しながら演習しましょう。内容や数字を暗記するのも同程度に大事ですが、最初の基礎固めでは「頭の使い方」「思考法」をしっかりインストールしてください。

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まとめ〜金財はすみっコがお好き?

大事なこと
  • 問題集に出ている問題、全選択肢一つたりとも抜けがないようにする
    本試験には捨て問はあるが、過去問には捨て問はない
  • 過去問道場にある基礎編全部2周以上(9割以上の正答率)
  • 初見の過去問・模試で150点以上(できれば160点以上)
  • 過去問に出た論点は丁寧に周辺情報をテキスト・ネット・動画で調べる
  • 計算問題はサービス問題。確実にクリアすること
  • テキストに書いてる赤字、小さな※に要注意
  • 基礎編、応用編はバランス良く。できれば等分で勉強する
  • 理解も大事だけど、最後の選択肢を絞り切るには暗記が大事

すみっコが大事!

思うに金財さんは重箱のスミ問題、すみっコが大好きだと思います笑 FPの実務に本当に必要なのか?という問題もあると思いますが、実は面接実技ではかなり「すみっコ」な細かい正確な知識を要求されるようですので、スミを大事にしましょうね。

こんな細かいスミまでやってるのは自分だけだろ!

と思い込めるくらい納得いくまでやり込んでください。ただし基本的には過去問に出ている情報を重点的にね。過去問のスミをきっちり詰めましょうということです。

FP1級は沼ると厄介と言いますが、諦めず受かるまで受け続けた人は受かっています。

もちろん状況的に受けられない場合もあるでしょう。撤退も悪いことではありません。他の道を回り道してから戻ってきて合格された方もいらっしゃると聞きます。

ただ数学やプログラミングのような人の適性を選ぶタイプの試験ではありません。あくまで検定試験なので一定レベルの知識を身につければ合格できます。

頑張っているのになかなか合格まで届かない人は努力が足りないんじゃないんです。方向性や進むべき深さが見えていないだけだと思います。

FP1級は宅建のように受検生が多くはなく、優れたテキストや予備校、スクールも殆どありません。わかりにくい金財かTACのテキストを手探りで独学で読むしかありません。わからないことがあっても教えてくれる先生も(身近には)いません。ほんださんのYouTubeで画期的に受検生のレベルは上がりましたが、基礎編は地道に過去問演習しない限り得点には結びつかないです。

この記事で書いたことは私見ですが、誰かのお役に立つこともあるかもしれません。ちょっとでも合格に近づいて欲しい、そう思って書きました。最後に「強く願って叶えるための行動をすれば必ず実現できます」。これは真理だと思います。

FP1級受検生の皆さんを心から応援しています。一緒に頑張りましょう。

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